広島大学生物生産学部紀要 29巻 2号
1990-12 発行

全粒綿実あるいは加熱圧片大豆給与が乳牛の夏期乳量, 乳成分に及ぼす影響

Comparison of Whole Cottonseed or Heat-Flaked Soybeans for Production and Composition of Milk by Dairy Cows under Summer Condition
井上 浩一
山谷 洋二
大谷 勲
本文ファイル
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抄録
全粒綿実と加熱圧片大豆の夏期泌乳牛に対する給与効果を比較するために、全粒綿実30%、全粒綿実15%+加熱圧片大豆15%あるいは加熱圧片大豆30%を添加した3種難の配合飼料を調製し、試験開始時平均乳量27kgの泌乳牛12頭を3群に分け、1期21日間の3×3ラテン方格法による試験を行なった。給与飼料は配合飼料をTDN比で65、イタリアンライグラスサイレージ25、アルファルファヘイキューブ10とし、各飼料区のTDN、粗蛋白質含量を同じにした。全TDN給与レベルは飼養標準の107%に設定した。試験期間中の日平均気温は25.4℃から30.8℃の範囲にあり、平均28.5℃であった。給与した配合飼料、ヘイキューブはほとんど採食されたが、サイレージに残食があり、特に加熱圧片大豆添加区で多かった。そのためTDN要求量に対する摂取割合は全粒綿実区で105%、全数綿実+加熱圧片大豆区で100%、加熱圧片大豆区で101%であった。乳量、無脂固形分、乳蛋白質率は各飼料区間で差は認められなかった。しかし乳脂肪率は全粒綿実区が他の2区よりも高く(p<0.05)、そのためFCM量も高くなる傾向を示した。以上の結果から全粒綿実給与が加熱圧片大豆給与よりも有利であると考えられた。
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