広島大学生物生産学部紀要 28巻 1・2号
1989-11 発行

仙台湾におけるイカナゴ(Ammodytes personatus)の漁業と資源

Fisheries and Resources of Sandeel (Ammodytes personatus) in Sendai Bay
橋本 博明
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抄録
近年イカナゴ漁業は、イカナゴが魚類養殖業ならびに栽培漁業用の餌料として多量に利用されるようになって、大きく発展した。イカナゴの漁獲量は、魚類養殖が本格化した1968年以降大きく伸び、1968~'76年の多獲期には、年平均21万トンであった。その後、漁獲量はやや減少傾向を赤して年平均14万トンに低下し、多獲に因る資源の減少が憂慮されるに至った。このような推移の中で、仙台湾におけるイカナゴの漁獲量は、これより約10年後の1980年以降増加傾向を示すようになった。この原因は、この海域において1977年と'84年に船曳網と底曳綱がそれぞれイカナゴ漁業に参入したからである.仙台湾のイカナゴ資源は、3年ごとに卓越年級群が発生するという周期性を持っており、これを反映して、漁獲量は小さな変動を繰り返してぎた。ところが、上述したようにイカナゴに対する需要が高くなり、近年の漁業の発達による漁獲圧力の増大がイカナゴ資源へ影響を及ぼして、従来認められていた3年ごとの周期性が崩れ、新たな事態が発生しているように見受けられる。さらに最近の資源解析からは、漁獲量の増加に反してその資源が縮小するという兆しが現れているように思われる。即ち、イカナゴ発生量にみられる3年ごとの周期性の崩壊に加えて漁獲圧力の影響が強く及んでいるように推察される。したがって、現今のイカナゴ資源に対して適正な資源管理が強く求められる段階に立ち至っていると考えることができる。
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