初等教育カリキュラム研究 9号
2021-03-31 発行

孤独な「松井さん」を隠蔽する『白いぼうし』の作品構造 : 『白いぼうし』の複数の読みの存在に着目して

For a Literature Class that Does Not Hide Personal Readings: In the Case of “Shiroi Boshi”
河上 裕太
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抄録
教室での『白いぼうし』の扱われ方,教材論レベルでの『白いぼうし』の読まれ方のそれぞれに注目すると,『白いぼうし』に大きく2つ読みの方向性があることが分かった。1つは『白いぼうし』に「優しさ」を読む同化的な読みの方向性であり,もう1つは「孤独」を読む作品に対して異化的な読みの方向性である。
このような2つの読み・読み方は作品構造に起因する。それは,個人的な「松井さん」を語り,その自閉性を問題化する「語り手」と,「松井さん」を引いた視点からファンタジー化し,その問題を隠蔽しようとする〈語り手〉という二つの語り手構造である。このような構造によって,従来の文学の授業では『白いぼうし』の「語り手」の存在が見落とされたり,「語り手」・〈語り手〉という二つの存在によって二つの方向に分かれていく読みが放置されてきたと考えられる。
キーワード
文学教育
〈語り手〉
『白いぼうし』
Literature education
“Narrator”
“Shiroi boushi”
権利情報
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