次期学習指導要領でコンピテンシー・ベイス・カリキュラムへの転換がはかられようとしている今日,日本の小学校社会科はどのようにカリキュラムを再構成すればよいのかを示すべく,アメリカ・オハイオ州のCBE社会科編とCBE評価編を検討した。CBE社会科編は目標に方法知や内容知に関連するコンピテンシー,汎用型コンピテンシーの3点を設定していた。特に内容知に関連するコンピテンシーに重点が置かれ,ストランド概念に基づいて精選した内容をキー発問に基づいて探究することで獲得される,社会を分析・評価する道具となる見方・考え方ともいうべきものをもって,自らの社会への関与のあり方を導ける市民を育成する学習に特徴があった。またCBE社会科評価編では,ストランド概念とそれを支える知識と技能を評価するために3タイプの方法を用いていた。それらの1つであるパフォーマンス評価では,知的市民の社会参加の文脈で,児童が獲得したものを活用できているかを評価するものとなっていた。以上の点で,CBE社会科編は内容編成と評価において,日本の小学校社会科教育に有効な示唆を与えている。