2015年,筆者は集団での創作活動のための学習材《ステージ》を開発した。本学習材は,参加する児童一人ひとりが得意とする表現を手がかりとして創作活動を行うという特質を持っている。その背景には,現在の小学校音楽科において広く用いられている創作活動のための学習材の多くが,学習指導要領に示された〔共通事項〕を手がかりとしており,参加する児童一人ひとりの持つ表現リソースを顧みていないことへの問題意識があった。開発に際しては,ジョン・ゾーンの作曲手法を参照し,表現を素材とみなして編集する方法を採用した。このような学習材を用いた創作活動には,集団での創作活動の方法知の獲得や協働的問題解決能力の育成などが期待できる。