廣島大學經濟論叢 37巻 2号
2013-11-29 発行

ベンチャー・ビジネスの企業統合と最適事業形態 <論説>

Integration of Venture Business and the Optimal Organizational Form <Article>
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抄録
エージェントの直面する自然の状態の情報を知り得ないことは、エージェントを業績結果のみで、「問答無用」として処遇することを意味し、逆に、それらの情報を知り得ることは、プリンシパルが「問答無用」の脅迫にコミットメントすることを逡巡させることになる。我々は、本稿で、大規模企業が、スピン・オフさせたベンチャー・ビジネスを、再度、企業の傘下に収める契約をしたとき、当該ベンチャー・ビジネスはいかなる事業形態で当該企業の傘下に置かれるべきかについて考察する。ベンチャー・ビジネスの立ち上げた事業を当該企業の傘下に置くとき、持ち株会社化による事業形態を選択するのか、あるいは、企業内部化による事業形態を選択するのかは、ベンチャー・ビジネスを事業業績のみで、問答無用として評価するのか、あるいは、自然の状態をも考慮した評価をするのかと同等の意味を持つ。すなわち、前者の事業形態は、ベンチャー・ビジネスを事業業績のみで評価・処遇をすることで高リスク・高インセンティブの維持を可能にするが、しかし、他方で、多くの利益機会の失うことでもある。そして、後者の事業形態は、ベンチャー・ビジネスの自然の状態を知ることで利益機会の増大を可能にするが、しかし、他方で、高インセンティブの維持のため高エージェンシー費用をともなうことになる。我々は、ベンチャー・ビジネスは、いかなる評価基準で、そして、いかなる事業形態で企業の傘下に収められるべきかを明らかにする。
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