本研究の目的は,道徳性の芽生えを育むための有効的な教師のかかわりとは何かを検討し,明らかにすることである。この研究では,道徳性の芽生えが育まれていると思われる子どもの姿のエピソードを記録し,子どもの姿と教師のかかわりを中心に,道徳性の芽生えを育むための有効的な教師のかかわりを検証していく。
今回の研究では,次の4つの教師のかかわりが大切だということが明らかになった。 ①子どもの心の動きに寄り添った教師のかかわり②目に見えないものの大切さを伝える教師のかかわり③子どものありのままの思いを受け止める教師のかかわり④自分の思いと向き合った姿を認める教師のかかわりである。
また,これらを通して子どもへの直接的な教師のかかわり以外にも道徳性を育むために,“教師の価値観”も大きく関係してくるのだと考えた。今後は,さらに教師と子どもの直接的なかかわりだけでなく広い視点をもって,子どもたちの道徳性の芽生えを育むために重要な教師の役割について明らかにしていきたい。