本研究で扱う「箏」は,静寂や音の響きに対する繊細さ,美しい姿勢や手の動き,礼に始まり礼に終わる精神性などの点において,拓唯まれな独自性を有するとともに,どの音楽にも通じる音楽の根源的な魅力を兼ね備えていると言える。本研究の目的は,このような「箏」の素晴らしさを児童・生徒に感じさせ表現させることのできる題材を開発することである。題材開発では,異学年交流によるアンサンブルという学習形態や創作という学習内容を取り入れることが箏の学習に様々なプラスの効果をもたらすことを仮説とし,アンケート調査や児童生徒のワークシートの記述分析,また,観察による行動や演奏の評価等で,検証を行った。その結果,このような学習形態や学習内容を取り入れることで箏の演奏に対する意欲や他者と音楽を共有したり表現したりする力が高まることが分かった。