本研究では,広島県内の土石流や洪水に関する石碑の碑文の内容を整理・集約した。特に,漢文で刻まれた碑文の内容は理解することは難しいため,碑文を現代語に訳した。広島県では1909(明治42)年から現在までに水害碑が少なくとも38基建立されている。概して,第二次世界大戦前までの石碑は,災害の様子,復興の過程に関する詳細な情報が記述されるものが多い。一方,戦後の石碑は,災害の概要を端的に伝え,慰霊や復旧記念を目的とするものが多い。水害碑は,被災地の位置や被災当時の様子を,地域の住民に伝えることができる防災教育に資する媒体であり,本稿はその一助となると期待される。