昭和58年(1983)に開かれた「広島復興博覧会」の主会場のひとつであった広島城天守閣には,「広島城郷土舘」として,広島大学からの貸し出し標本をはじめ,広島県を中心とした地質学的資料(地質図・鉱物・岩石・化石など)を含む自然科学資料が多数展示されていた。しかし,平成元年(1989),広島城は歴史資料展示館に改変されることになり,展示されていた自然科学資料はすべて寄託者に返還された。現在では,そのほとんどが所在不明である。
本稿では,昭和54年(1979)に広島市によって刊行された「広島城展示資料目録」の地質鉱物の部のうち,広島大学理学部地質鉱物学教室に返還された標本,および寄託者の好意によって教室に寄贈頂いた標本(化石188点,岩石・鉱物・鉱石136点,合計324点)について,広島大学総合博物館への収蔵に伴い,標本の整理・収蔵リストの作成・解説を行ったものである。