ミズクラゲ(Aurelia sp.)の生活環の中で,ポリプからストロビラを経てエフィラに形態変化する過程はストロビレーションと呼ばれる。ストロビレーションの分子機構の解明に向けて分子生物学的および生化学的研究を進めるために,瀬戸内海産のミズクラゲからポリプのクローン系統を7株確立した。実験室内でストロビレーションを誘導する条件を検討した結果,これらのクローン系統は,25℃から10℃への低温処理によって32- 42日でストロビレーションを開始し,indomethacin (25μM)の投与によって25℃条件下で4-8日でストロビレーションを開始した。また,短期間だけ低温処理をおこなう飼育実験の結果,ストロビレーションは一旦開始すると低温条件下でなくても正常に進行し完了することが明らかになった。さらに,分子系統解析の結果,今回確立したクローン系統がAurelia sp.1(Dawson et al., 2005)であることが示唆された。