生物圏科学 : 広島大学大学院生物圏科学研究科紀要 50巻
2011-12-24 発行

Estimation of geographical distribution limits between two subspecies of white-spotted charr, Salvelinus leucomaenis imbrius and S. l. pluvius, on the basis of RAPD analysis

RAPD分析に基くイワナ2亜種,ゴギとニッコウイワナの地理的分布境界の推定
Inoue, Takanori
Imabayashi, Hiromichi
本文ファイル
抄録
RAPD分析に基づき,日本海流入河川のイワナ2亜種,ゴギとニッコウイワナに特異的な遺伝子型の分布を調べることにより,両者の分布境界を推定した。計16断片が増幅され,1個体から7-14バンドが検出されたが,ゴギあるいはニッコウイワナにのみ特異的なバンドは見られなかった。ゴギ,ニッコウイワナ各々9,15のハプロタイプが見られ,これらのうち,2タイプのみが両亜種共通であった。両者が混棲する可能性がある中間域では24ハプロタイプが見られ,これらのうち,5,9タイプがそれぞれゴギ,ニッコウイワナ特異的であった。ゴギ特異的タイプは鳥取県勝田川が東限,ニッコウイワナ特異的タイプは鳥取県日野川が西限であった。日野川水系では17ハプロタイプが見られ,それらのうち,3,7タイプがそれぞれゴギ,ニッコウイワナ特異的であった。クラドグラムではゴギあるいはニッコウイワナ特異的タイプのみからなる大きなクレードは形成されなかった。これらは,ゴギは東方へ,ニッコウイワナは西方へ分布を広げ,その際に大山山塊が両者にとって分布拡大の障壁となったことを示唆する。
キーワード
distribution
Gogi
Nikkoiwana
RAPD
Salvelinus
分布
ゴギ
ニッコウイワナ
RAPD
イワナ属