生物圏科学 : 広島大学大学院生物圏科学研究科紀要 49巻
2010-12-24 発行

夏季の周防灘における海底高濁度層の分布と短期変動

Summer distribution and short-term variation of the bottom turbid layer in Suo-sound in the Western Seto Inland Sea, Japan
中西 哲也
宮下 幸久
浜口 昌巳
手塚 尚明
本文ファイル
抄録
2009年の6月29日-7月2日と8月22-23日に,周防灘において水温,塩分,クロロフィルα(以下chl. α),濁度の鉛直分布を調べた。6-7月にはchl. αの亜表層極大と海底高濁度層がほぼ調査海域全体に形成されていた。8月にはchl. α の亜表層極大は弱くなり,6-7月と較べて海底高濁度層の発達が顕著で,chl. α濃度の増加も見られた。6-7月と8月の両観測期間は,それぞれ小潮と大潮の時期に相当していたことから,潮汐周期が海底高濁度層の発達に影響を及ぼしている可能性が示唆された。また,両観測期間中に,灘西部の2観測点(水深10mの浅海域と30mの沖合域)において1-3時間毎の連続観測を行って日周変動を調べた。海底高濁度層は水温・塩分(および密度)の急激な変化時に最大値を示し,濁度層の分布パターン・厚さは潮汐周期と底層の水温・塩分・密度分布によく対応していた。さらに,塩分-chl. α,塩分-濁度,chl. α-濁度の関係から,粒状懸濁物を陸(河川)起源,海底高濁度層,亜表層クロロフィル極大,異水塊に由来するものに分別することができた。
キーワード
周防灘
海底高濁度層
クロロフィルα
短期変動
潮汐周期
bottom turbid water
Suo-sound
chlorophyll α
short-term variations
tidal cycle