生物圏科学 : 広島大学大学院生物圏科学研究科紀要 48巻
2009-12-25 発行
Fish Fauna on Reefs of Tokara Islands, Southern Japan, Surveyed By Underwater Census During 2002-2007
抄録
トカラ列島口之島,中之島,平島,小宝島の浅海リーフにおいて潜水センサスによる魚類相調査を実施した。2002-2007年にかけて,3名から6名の調査者による約1時間の潜水調査を各島3-5回実施し,総計304魚種を記録した。それらのほぼすべてがサンゴ礁域および琉球列島への分布が報告されている熱帯性魚種であり,亜熱帯水域としての生物地理学的位置づけを強く支持するものであった。80%を越える魚種は,より北方の黒潮流域にある屋久島,高知県柏島からも記録されているものであったが,ヒレグロイットウダイ,ホシニセスズメ,ユカタイシモチ,オキナワサンゴアマダイ,ハマクマノミ,ヤシャベラ,コブブダイ,ゴイシギンポ,カタボシサンカクハゼ,ゴマアイゴ,トサカハギの11種については両地点で記録されておらず,トカラ列島水域を北限とする分布特性を有する可能性が示唆された。