生物圏科学 : 広島大学大学院生物圏科学研究科紀要 47巻
2008-12-20 発行

周防灘における光環境,クロロフィルa 及び濁度の季節・海域変動

Seasonal and spatial variations of optical properties, chlorophyll a and turbidity in Suo-Sound of the western Seto Inland Sea, Japan
宮下 幸久
湯川 翔太
手塚 尚明
浜口 昌巳
本文ファイル
抄録
2007年の5月から11月にかけて,ほぼ毎月,周防灘全域の全水柱(ここでは,海表面から海底直上20cmまで)における水温,塩分,光量子,クロロフィルα(以下Chl.α),濁度の鉛直分布及び透明度の海域分布を調査し,アサリ生産との関連性について検討した。その結果,海底高濁度層が灘全体に見られ,特に灘南西部の浅海域(水深10m程度)では,観測期間を通じて沖合域よりも濁度は高く,Chl.αも高濃度だった。これらの浅海域を含めて,灘西部の水深20m程度以浅の海域では,一般に海表面から海底までの全水柱が有光層になっていた。周防灘のアサリ漁場は,干潟から水深5m程度までの海域にあるため,底生濾過捕食者のアサリにとって,餌料供給の点では沖合域よりは好適条件を備えていると考えられた。また,Chl.α濃度は,鉛直混合の開始初期の10月に周防灘全体で最も高く,時期的にはアサリの秋季産卵の数週間前であると考えられた。これらのことから,周防灘のアサリ生産は,地域的・季節的な環境条件の違いとそれに伴う植物プランクトンの変動に関連があることが明らかとなった。
内容記述
本研究は,広島大学と水産総合センター瀬戸内海区水産研究所との共同研究「瀬戸内海におけるベントスの生産性評価手法の開発」の一環として行われ,「広島大学地域貢献研究」および「水産基盤整備調査委託事業:広域アサリ漁場整備開発のための海況調査」の予算支援を受けたものである。
キーワード
海底高濁度層
クロロフィルa
時空間変動
光環境
周防灘
アサリ
bottom turbid water
chlorophyll α
seasonal and spatial variations
optical properties
Suo-Sound
Manila clam