ID 31767
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Maeda, Yorinobu
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Medical sciences
abstract
従来、腸管内細菌活性度を評価する方法として14Cでラベルしたグリココール酸(GCA)投与による呼気テストや、14Cでラベルしたキシロース投与による呼気テストがあり、腸内細菌の異常に増殖するblind loop syndromeの様な病態の診断に有効であることが報告されている。しかし、これちの方法は放射性同位元素を使用すること、測定が煩雑であることなど幾つかの欠点を有し少なくとも我が国での臨床には適さない。そこでこれちの欠点を解消すべく新たにウルソデオキシコール酸(UDCA)のパラアミノ安息香酸(PABA)抱合体、ウルソデオキシコリル-パラアミノ安息香酸(PABA-UDCA)を合成し、本物質経口投与後の尿中PABA排泄量の測定による腸管内細菌発育の新評価法の開発を試みた。

(1)PABA-UDCAは、PABAとUDCAを出発物質とし、グリシンまたはタウリン抱合胆汁酸合成法と同一手法により縮合させることによって収率よく合成できた。

(2)PABA-UDCAは、膵酵素混合物であるパンクレアチン、カルボキシペプチダーゼA、カルボキシベプチダーゼB、トリプシン、α-キモトリプシン、肝ホモジネート、小腸粘膜ホモジネート、及び、血清によっては水解されず、腸内細菌のClostridium perfringensから分離、精製されたコリルグリシンヒドロラーゼによってよく脱抱合され、Lineweaver-Burk式よるMichaelis定数(Km値)3.74mMを示した。この値は、同様の操作によって得られたヒトの主要胆汁酸であるGCAのKm値3.6mMと近似しており、本物質がGCAと同様に腸内細菌に由来する水解酵素の良い基質であることが判明した。

(3)PABA-UDCAの各種腸内細菌による脱抱合を検討した結果、この非天然型抱合胆汁酸は、内因性胆汁酸のGCAと同様に好気性菌であるEnterococcus faecalis, Lactobacillus acidophilus, StaPhylococcus epidemidis及び嫌気性菌であるBacteroides fragilis, Bifidobacterim adlescentis, Bifidobacterim longum, Clostridium perfringens, Eubacterium aerofaciens及びFusobacterium variumにより脱抱合されることが判明した。

(4)PABAは小腸からだけでなく大腸からも受動輸送によって吸収されること、並びに、PABA-UDCAは回腸末端から能動輸送により吸収され、従って、内因性胆汁酸と同様に腸肝循環を営むことが判明した。

(5)PABAの吸収と排泄は、腸内細菌数により影響を受けないこと、また、PABA投与3時間後には、既に78%が尿中に排泄されていることを明らかにした、これはPABAが腸内細菌発育活性度評価のトレーサーとして優れた性質を有していることを示している。

(6)PABA-UDCA経口投与による6時間尿中PABA排泄量を検討したところ、腸管内を制腐した抗菌剤処置群では、無処置群に比し、2/3から1/25に有意に低下した。また、外科的に小腸の腸管内停滞係蹄を作製することにより、腸管内細菌異常増殖状態を人工的に生じせしめたものでは無処置群の約2倍と有意に高い値を示した。これらの糞便中の細菌数は尿中PABA排泄量の結果を裏付けるものであり、PABA-UDCA投与後の尿中PABA量の測定によって腸内細菌発育状態が評価できることを確立した。

以上、PABA-UDCAは経口投与後、内因性胆汁酸と同様に腸肝循環を営み、その間に腸内細菌により脱抱合されて生じたPABAは腸から吸収され、尿中に排泄される。したがって本物質投与後、6時間の尿中PABA排泄量の測定は、PABA-UDCAの脱抱合の程度、即ち、腸内細菌の発育状態を反映することが明らかとなり、PABA-UDCAテストは、14CラベルのGCA呼気テストに優る、我が国でも使用できる、簡便で安全な信頼性の高い腸内細菌発育状態の新評価法であると考える。
contents
目次 / p1
序論 / p3
本論 / p8
第一章 胆汁酸抱合体の合成 / p11
 第一節 ウルソデオキシコール酸のパラアミノ安息香酸抱合体(PABA一UDCA)の合成 / p11
 第二節 ウルソデオキシコール酸のL-ロイシン抱合体の合成 / p14
 第三節 ウルソデオキシコール酸のL-リジン抱合体の合成 / p14
 第四節 各種胆汁酸抱合体の純度 / p15
 小括 / p15
第二章 胆汁酸抱合体の酵素水解 / p16
 第一節 パンクレアチンの影響 / p18
 第二節 カルボキシペプチダーゼAの影響 / p18
 第三節 カルボキシペプチダーゼBの影響 / p20
 第四節 トリプシンの影響 / p20
 第五節 α-キモトリプシンの影響 / p20
 第六節 血清中酵素の影響 / p20
 第七節 肝ホモジネートの影響 / p21
 第八節 小腸粘膜上皮ホモジネートの影響 / p21
 第九節 細菌性コリルグリシンヒドロラーゼの影響 / p21
 小括 / p23
第三章 PABA-UDCAに対する腸管内細菌の脱抱合能 / p24
 第一節 好気性菌の影響 / p24
 第二節 嫌気性菌の影響 / p26
 小括 / p27
第四章 PABAとPABA-UDCAの吸収挙動 / p28
 第一節 PABAの吸収 / p28
 第二節 PABA-UDCAの吸収 / p30
 小括 / p31
第五章 PABA-UDCAの動物投与試験 / p34
 第一節 PABAの投与試験 / p35
 第二節 最小有効採尿時間 / p35
 第三節 無処置群について / p35
 第四節 抗菌剤処置群について / p37
 第五節 腸管内停滞係蹄群について / p39
 第六節 糞便中の細菌数について / p39
 小括 / p40
総括 / p41
要約 / p46
実験の部 / p48
文献 / p57
謝辞 / p61
SelfDOI
language
jpn
nii type
Thesis or Dissertation
HU type
Doctoral Theses
DCMI type
text
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application/pdf
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ETD
rights
Copyright(c) by Author
grantid
乙第2037号
degreeGrantor
広島大学(Hiroshima University)
degreename Ja
博士(薬学)
degreename En
Pharmacology
degreelevel
doctoral
date of granted
1990-07-26
department
Graduate School of Biomedical Science