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ID 27620
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戦後日本における山村の変容 : 周辺化と開発過程
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NDC
General geography. Description and travel
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本稿は、第2次大戦後の日本の山村の変容を、中心・周辺論による「周辺化」の概念に依拠して捉えなおそうとしたものである。この観点からすれば、今日の山村は、過疎地域や僻地よりも、「周辺地域」として捉えるほうが適切である。この場合には、戦後の日本の山村変容は、自然経済の地域構造から商品経済の地域構造に最終的に編成替えされる中で生じたものであり、山村経済の国レベルの市場経済への完全な統合過程であったことになる。具体的な特徴としては、農林業の衰退と他方での工業、建設業、サービス業などの成長、消費生活の商品依存、労働力の流出、外部資本の進出などがあげられる。また、その結果、長く保たれてきた山村経済と生態系との有機的関連も失われていくことになる。本稿では以上の観点に立って実証的な検討を行い、以下の結果を得た。

1. この間の山村の変容のもっとも劇的な側面をなす人口減少について分析したところ、その地域性は東日本と西日本という対照性が弱まり、大都市圏を中心とした同心円構造が強くなっていることが明らかとなった。続いて、山村問題の定量的検討により、今日高齢化が最も基本的次元であること、また最も問題の深刻な地域が西南日本外帯の山村であることが判明した。

2. 「周辺化」が最も顕著に現れている山村経済の検討により、非農林業化の進行と地域労働市場の形成、それによる山村の外部依存の増大と、「周辺地域」としての役割強化の過程が確認された。特に、工業化との関連では、愛知県三河山間地域において、地域労働市場の重層構造の実態が示された。

3. 山村の生活問題を、西中国山地の加計町の例を中心に、集落立地や中心機能の再編の観点から検証した結果、高位面の集落の廃村化、また学校その他の機能の統廃合による中心部と周辺部の格差の拡大が明らかにされた。

4. 最後にこうした状況下にある山村開発のあり方を検討した。通称「むらおこし」とよばれる山村の内発的振興に光を当て、これまで余り注目されていないその意義を明確化した。また今日問題化しつつある山村の生態系の変化にも注目し、将来の山村にとってそれを保全することの意義を述べた。

以上のように、本稿は「周辺化」概念を軸に戦後日本の山村変容を多面的に把握しようとしたものである。こうした「周辺地域」としての山村理解は、Skeldon(1985)の図式に示されているように、世界的なスケールでの山村変容の解明にも有効と考えられる。
journal title
The Hiroshima University studies, Faculty of Letters
volume
Volume 51
start page
115
end page
144
date of issued
1992-03-31
publisher
広島大学文学部
issn
0437-5564
ncid
SelfDOI
language
eng
nii type
Departmental Bulletin Paper
HU type
Departmental Bulletin Papers
DCMI type
text
format
application/pdf
text version
publisher
department
Graduate School of Letters
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