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ID 31963
本文ファイル
別タイトル
A study on the minimum cost design of steel frames considering the fabrication cost
著者
清水 斉
NDC
建設工学・土木工学
抄録
鋼構造建築骨組の最適化において,実務構造設計や既往の研究では,鋼材重量のみに着目した最適化がほとんどである.しかし,鋼材重量のみに着目した最適化では,鉄骨製作の難易度が考慮できていない.そのため,鋼材重量が少ない割には,鋼材コストと鉄骨製作コストを合わせた合計コスト低減に結びついていない.また,鋼材重量の低減が構造性能の低減に繋がっている.本論文では,これらの問題を解決するため,鉄骨製作コストの難易度を反映できる鉄骨製作コスト評価法の提案と,その評価手法を用いた最小コスト設計の提案行なった.そして,これらの提案の活用により,経済的で構造性能の良い鋼構造建築骨組の構造設計を実現できることを示した.

本論文は,第1章「序論」と第6章「結論」を合わせて6章構成となっている.本論文を構成する第2章から第5章の概要を以下に示す.

第2章「鉄骨製作コストの評価手法と労務時間係数の算出」では,鋼構造建築骨組の製作難易度によって生じる製作コストの実状を反映した最小コスト設計を実現するため,基礎研究として,鉄骨製作コスト評価手法を提案する.まず,鉄骨製作会社を対象として実施した鉄骨製作労務時間のアンケート結果について考察する.さらに,アンケート結果等に基づき鉄骨製作コストの評価式を提案する.次に,鉄骨製作会社から提供を受けた実物件の鉄骨工事コストの労務時間資料を分析し,評価式で用いる労務時間係数を算出する.そして,本評価手法による試算コストと実物件の鉄骨製作コストを比較考察し,本評価手法の妥当性を示す.

第3章「鉄骨骨組の製作コストを考慮した構造設計法に関する研究」では, 3つの構造設計例に対して,それぞれ断面せいの統一に重点をおいた設計方針Aと,断面せいの統一化は意識せずに鋼材重量縮小に重点をおいた設計方針Bによる合計6ケースについて,仮定断面の設定から最終断面の決定までの設計を実施する.そして,それらの設計結果に対して鉄骨製作コストの評価式を適用して合計コスト(主架構鋼材コストと主架構鉄骨製作労務コストの合計)を算出し,設計方針の違いが建築物の性能や合計コストに与える影響を考察する.

第4章「鉄骨骨組の最適設計における遺伝的アルゴリズム(GA)の改善提案」では,改善前GAの交叉や突然変位に加えて,ランダムに選んだ設計変数の座標軸方向への直線探索を組み込んだGAを提案する.この提案手法(以降では,一次元直線探索と呼ぶ.)を,鋼構造建築骨組の部材断面最適化問題に適用し,一次元直線探索の組み込みによる厳密解への収束性及び到達率の改善効果の検証を行う.なお,厳密解とは,検証のために列挙法により求めた解である.本論文では2種類の部材断面最適化問題を扱う.一つは最小重量設計問題で,規格断面使用により,鋼材重量が不連続に変化する.もう一つは本論文で主眼としている最小コスト設計問題で,規格断面使用により鋼材コストが不連続に変化することに加えて,接合部のダイアフラム数や溶接接合面積が変化することにより鉄骨製作コストが不連続に変化し,最小重量設計問題より複雑な設計問題である.例示する鋼構造建築骨組は3層と5層の2種類である.骨組の規模と設計問題の複雑さ両面から,提案手法の収束性及び厳密解到達率の改善効果を示す.

第5章「GAによる最小コスト設計解の実施設計への適用性に関する研究」では,実施設計を想定した8層4スパンの架構に,第4章で改善提案したGAを用いた最適化設計プログラムを適用し,鉄骨製作コストを考慮した最小コスト最適解の実施設計への適用性を示す.ここでは,最小コスト設計解と最小重量設計解の合計コスト,鋼材重量,層間変形角,崩壊荷重係数,部材配置,部材の許容応力度,ヒンジ発生状況の比較を行ない,最小コスト設計解の方が最小重量設計解よりも,構造設計者が日常の設計において合理的であると判断している部材断面配置に近い結果を与えることを示す.
言語
日本語
NII資源タイプ
学位論文
広大資料タイプ
学位論文
DCMIタイプ
text
フォーマット
application/pdf
権利情報
Copyright(c) by Author
関連情報(references)
① 清水斉, 澤田樹一郎,松尾彰,佐々木尊一,南波篤志: 鉄骨骨組の製作コストに関する研究, 鋼構造年次論文報告集, Vol.14, pp.393-400, 2006.11
② Kiichiro Sawada, Hitoshi Shimizu, Akira Matsuo, Takaichi Sasaki, Takashi Yasui and Atsushi Namba: A Simple Estimation of Fabrication Cost and Minimum Cost Design for Steel Frames, The 4th China-Japan-Korea Joint Symposium on Optimization of Structural and Mechanical Systems, pp.89-94, November 6-9, 2006, China
③ 佐々木尊一,清水斉, 澤田樹一郎,松尾彰,南波篤志: 労務時間記録に基づく鉄骨製作コストの簡易評価に関する研究, 鋼構造年次論文報告集, Vol.15, pp.79-84, 2007.11
④ Kiichiro Sawada, Hitoshi Shimizu, Akira Matsuo, Takaichi Sasaki, Takashi Yasui and Atsushi Namba: A Simple Function to Estimate Fabrication Time for Steel Building Rigid Frames, Design Fabrication and Economy of Welded Structures, International Conference Proceedings 2008, pp.135-141, April 24-26, 2008, Miskolc, Hungary
⑤ Kiichiro Sawada, Hitoshi Shimizu, Akira Matsuo, Takaichi Sasaki, Takashi Yasui, Atsushi Namba, Takao Takamatsu and Hiroaki Tamai: Seismic Design of Steel Frames Considering Structural Weight and Fabrication cost, The 14th World Conference on Earthquake Engineering ,October 12-17, 2008, Beijing, China
⑥ Kiichiro Sawada, Hitoshi Shimizu and Akira Matsuo: Enhanced Genetic Algorithm with Randomized Line Search Techniques for Discrete Truss Optimization, 8th World Congress on Structural and Multidisciplinary Optimization, June 1-5, 2009, Lisbon, Portugal
⑦ 清水斉,澤田樹一郎,松尾彰: 鉄骨骨組の製作コストを考慮した構造設計法に関する研究, 鋼構造論文集, Vo.16 No.63, pp.49-56, 2009.9
⑧ 清水斉, 澤田樹一郎,松尾彰: ラーメン骨組の最適設計における遺伝アルゴリズムの改善提案, 日本建築学会構造系論文集, No.648, pp.327-336, 2010.2
⑨ Hitoshi Shimizu, Kiichiro Sawada, Akira Matsuo: A Line Search Technique in Combined Genetic Algorithm for Optimum Cost Design of Steel Structures, The 6th China-Japan-Korea Joint Symposium on Optimization of Structural and Mechanical Systems, June 22-25, 2010, Kyoto, Japan
関連情報URL(references)
http://dx.doi.org/10.3130/aijs.75.327
学位記番号
甲第5308号
授与大学
広島大学(Hiroshima University)
学位名
博士(工学)
学位名の英名
Engineering
学位の種類の英名
doctoral
学位授与年月日
2010-09-16
部局名
工学研究科