学習システム研究 6号
2017-03-31 発行

教師のための「真正な学び」の研究:第三年次の研究 : 教材研究のための研究論文の読解とその「真正な実践」への活用

Study on “authentic learning” for school teachers: Research in the third year : Interpretation of academic papers for researching teaching materials, and utilization for “authentic practice”
池野 範男 大学院教育学研究科 広大研究者総覧
本文ファイル
抄録
 本稿では,共同研究の第三年次の研究のねらいを説明するとともに,価値と知識が交差する領域である社会科公民領域において取り上げられる選挙制度の教材研究を事例にして,政治学領域の論文(著書)読解を行い,教材研究の在り方を検討した。目的は,著書読解,教材研究から公民単元づくりにいたる過程に見られる学びの構造を解明し,研究者の学びの構造を学習者の学びの構造に活用することで,研究者の学びを「真正な学び」に転用する過程を明らかにすることである。
 そのために,加藤(2003)『日本の選挙』を取り上げ,その著書の章節構造,内容構造,学びの構造を,著書読解を通して解明した。その結果,次のことを成果として示すことができた。
(1)著書の章節構造は,主に,小選挙区制と比例代表制という選挙制度の功罪を比較考察している。
(2)著書の内容は,選挙制度に関する議論の仕方と,議論内容の2 つの層からなっている。後者の議論内容としては,制度,思想,理念の3つの関連構造として組織されている。
(3)著者は,選挙の制度,民主主義の思想,社会の在り方に関する理念の3 つの相互関連を認識することが重要であると主張し,制度の詳細な情報だけを追いかけるよりも,3 つの相互関連を追究することを重要視している。
(4)教材研究は,これら(1)から(3)のいずれかに焦点化するが,その決定は,教科観に依存している。(1)は専門内容重視,(2)は教科内容重視,(3)教科目標重視の教科観に依存していることを明らかにした。
キーワード
論文読解
教材研究
教科観
政治学
学びの構造
Paper Interpretation
Teaching Materials Research
View of School Subject
Politics
Structure of Learning