学習システム研究 5号
2017-03-31 発行

日本における多文化教育の論争点と課題 : 複アイデンティティ形成に焦点を当てて

The issues and problems of multi-cultural education in Japan : Focus on formation of pluri-identities
池野 範男 大学院教育学研究科 広大研究者総覧
本文ファイル
抄録
 本稿は,日本の国際理解教育に関連した領域においていくつかの典型的な教育実践を取り上げ分析することにより,日本の多文化的な教育の現在の状況を解明し,そこで生じている論争点と課題を確認しようとしたものである。国際理解に関連した教育における各々のタイプの特徴を解明した。特に,文化とアイデンティティの取り扱いに焦点化し,各タイプの教育におけるそれらの取り扱いの相違と差異を明らかにした。
 日本では国際理解に関連した教育は,狭義の国際理解教育から出発した。その後,グローバル教育,異文化教育,多文化教育へと発展してきたが,その特徴は多様性であった。特に多文化教育に代表されるように,社会における文化の多様性に着目し,文化の要素の複数性とともに,多様性と複数性の2つが重要なものであると理解していた。しかも,その文化の複数性が個々人の内面にも作用していることまで研究を発展させている。文化が及ぼすひとの内面性としてのわたしの複合化は,文化とひとの複合化によって,アイデンティティの複数性(複アイデンティティ)を創り出し,わたしのなかに多様なわたしとそのアイデンティティを顕わにし,その対立・葛藤を生み出し,調整を必要としている。日本の国際理解教育に関連する教育はこの問題にどのように対応するのかが現在のひとつの重要な課題となっている。
内容記述
本論文は,Theory and Research for Developing Learning Systems ,Vol.3 所収の英語論文“The Issues and Problems of Multi-Cultural Education in Japan”pp.27-41 の日本語訳論文である。
キーワード
国際理解教育
グローバル教育
異文化教育
文化とアイデンティティ
複合性
Education for International Understanding
Global Education
Intercultural Education
Culture and Identity
Plurality
権利情報
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