学習システム研究 4号
2016-03-31 発行

教師のための「真正な学び」研究入門 : 教材研究のための論文読解比較研究

“Authentic Learning” for Teachers : A Comparative Study of Paper Reading for Research on Teaching Materials
本文ファイル
抄録
本稿は,昨年度に引き続く共同研究の分担研究である。本共同研究では,教師が専門科学(研究)者の研究内容を消費・活用するだけではなく,専門科学者という一人のひとの学習とその過程を読み解き活用することをねらい,教師が進める学習に専門科学(研究)者の側から支援する方法を見い出すことを試みている。本研究の一連の「真正な実践」研究は,専門科学(研究)者が行う研究を学校教師が教材研究として読み解き,その読み解きから一人の研究者の「学習」過程へと読み変える変換システムを開発しようとするものである。

共同研究の二年次の各担当者は,研究領域におけるトピック(主題)を設定し,発行年代,あるいは,著作国・地域,または,著者が違う複数論文(著書)を取り上げ,2つの論文の基本構造とその研究過程を解明する。本稿は,本共同研究の入門編として,価値(法)領域と知識(社会)領域に関連するトピック(主題)を取り上げた2つの著書を事例にして教師が進める教材研究の一つとしての複数論文(著書)読解とそこから引き出すことができる研究者の「真正な学び」の過程と構造を解明する。

本稿は,税制(税金)を主題にした複数の著書を取り上げ,各著書の基本構造を取り出す。2つの著書は1970年,2012年発刊と年代を異にした刊行物であり,同じ主題における基本構造の類似性と,年代的相違性を比較検討した。また,税制(税金)と言う主題に関する教材研究から導出することができたことは次の3点である。
1)時間的な差異をもった2つの著書には,変化,発展,影響があること
2)同じ領域の著書におけるその研究の構造は,類似のものであること
3)教師の教材研究では,著書の読解を通して研究の構造を生成するとともに,複数の著書における構造変化を理解し,単元や授業にどのように利用するのかを決定することが必要であること

本稿は,複数の論文(著書)読解が各研究領域の固有性に規定されながら,各研究領域で取り扱われるトピック(主題)によって,それぞれの構造が異なるものを取り出すことができること,また,その構造を研究者の「真正な学び」として転用することができることを明らかにした。
キーワード
真正な実践
論文読解
教材研究
比較研究
学びの研究
Authentic Practice
Paper Reading
Research into Teaching Materials
Comparative Research
the Study of Learning