学習システム研究 1号
2015-03-31 発行

中国語を母語とする日本語学習者における日本語漢字単語の学習過程 : 中日2言語間の形態・音韻類似性による影響

The Process of Learning Japanese Kanji (Chinese character) Words in Chinese-Native Learners of the Japanese Language : Effects of Orthographical and Phonological Similarities between the Chinese and the Japanese Languages
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抄録
本研究では,中国語を母語とする日本語学習者における中国語と日本語の漢字単語の学習過程を検討した。具体的には,漢字単語の処理過程を検討することによって,学習者の学習過程を推測した。中国語と日本語間の漢字の形態・音韻類似性を操作し,母語と第二言語の両方を操作した2つの実験を行った。実験1では,2(呈示言語:母語,第二言語)×2(形態類似性:高,低)の2要因計画,実験2では,2(呈示言語:母語,第二言語)×2(音韻類似性:高,低)の2要因計画,がそれぞれ用いられた。実験の結果,以下の2点が明らかとなった。 (1)習熟度に関係なく形態類似性の高い単語は母語と第二言語で同様な処理過程をもつこと, (2)習熟度の低い学習者では母語の音韻表象がより活性化することによって単語の処理に影響を及ぼしやすく,習熟度の高い学習者では第二言語の音韻表象がより活性化することによって単語の処理に影響を及ぼしやすいこと,の2点である。中国語を母語とする学習者においては,単語の中日2言語間の形態情報を容易に識別することができるが,2言語間の音韻情報を瞬時に弁別することが容易ではないことが示された。学習者が中国語漢字の形態・音韻知識を用いて日本語の漢字単語を学習する過程をもつことが明らかとなった。日本語漢字単語を中国語の発音で読むという学習過程に十分に注意することの重要性が窺える。
内容記述
本論文は,Theory and Research for Developing Learning Systems, Vol.1 所収の英語論文 “The Process of Learning Japanese Kanji (Chinese character) Words in Chinese-Native Learners of the Japanese Language” の日本語訳論文である。
キーワード
漢字単語
形態類似性
音韻類似性
処理過程
習得過程
Kanji Words of Chinese and Japanese
Orthographical Similarity
Phonological Similarity
Word Recognition
Learning Process