廣島大學經濟論叢 33巻 2号
2009-11-30 発行

地域間人口移動と経済力移転 <論説>

Inter-regional Migration and Transfer of Economic Power <Articles>
吉村 弘
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抄録
本研究の背後にある基本的な考え方は、地域間人口移動は、地域の観点からは、市場メカニズムが十分に補償し得ない経済力「移転」の面をもつと考えることが出来るのではないか、ということである。もしそうだとすれば、地域間人口移動は地域間財政調整の根拠となり得る。このような考えに基づいて、本稿の目的は、平成7~12年の都道府県データにもとづいて、地域間人口移動に伴う地域間経済力の移転額を推計することである。その結果、地域間人口移動と公的移転(公共収入超過)の間にはほぼ正の比例的関係がみられ、人口純転入が大きければ公共収入超過も大きい傾向がみられ、逆は逆である。したがって、地域間人口移動の都道府県に与える影響を、地域の観点からみると、人口純転入(とりわけ20歳前後の若者の純転入)の大きい大都市圏に財政上有利な効果を与え、逆に地方圏に不利な効果を与える傾向がある。しかもその財政上の効果は、プラスの都道府県にとってもマイナスの都道府県にとっても無視できない大きな額である。
キーワード
地域間人口移動
経済力移転
公的移転
財政調整
再分配
inter-regional migration
transfer of economic power
public transfer surplus
SelfDOI