第3回 論文集

元文学研究科
近藤良樹 名誉教授

概要

著者の退官を記念して、過去の論文を中心に、「誠実」や「希望」など9つのテーマ別に編集された本学リポジトリオリジナル論文集です。哲学・倫理学の研究者必見です。

近藤先生からの紹介文

定年退職(文学部2008年3月)を前にして、「信念」論等、倫理に関する論文を少しまとめて著書を一、二冊と思って、出版社に相談したことがありました。商品にするには、かなり軽いものにしなくてはならないし、かつ、自費負担もしてほしい感じでした。「さて、どうしたものか」と思案していた頃、幸運にも図書館にリポジトリができることになり、「これこれ!」と飛びついたことです。縮小も取捨選択も不要、いくらでも掲載できるとあって、この十年ほどの間に書いた論文をテーマ別にまとめ、「論文集」と銘打ったもの、大小の冊子8冊分相当をリポジトリに入れてもらいました。

誠実とか、信頼・信念といったものを研究のテーマにしてきたのですが、とくにそれらの日本的な特殊な内容の解明となると、ほとんど参考になるものがありません。明治維新以降、近代的な生き方の確立の過程でこれらの概念は形成されて来たもののようで、信念などまだ明治の人は「信仰」の意味で使っていたりもします。これらの概念をめぐる新しい生き方とそのことの反省・思索に打ち込んだ者があったにちがいないのですが、論文等研究の拠り所にできるようなものは残念ながら見つけることができませんでした。そとに手がかりはないということで、夏冬春の休み中は、一週間も二週間も部屋に閉じこもってアナムネーシス(想起=自己内在の概念の省察)を続け、暗中模索に近い形で研究発表もして来ました。その頼りのない省察を振り返りながら、今後のための、ささやかなたたき台になれればと思いつつ、リポジトリに入れてもらったことです。

「希望」については、定年時には、論文は3編しかなく、それに続く構想もあり、論文集にできませんでしたが、定年後一年半、やっと09年の夏休み、後半の3編(=3章)、「夢」「絶望」「絶望から希望へ」をまとめ上げました。これをもって、秋に、「希望(論文集)」の形で載せてもらい、一段落ついた感じでおります。  

リポジトリ用「論文集」をまとめていた定年直前の冬は、「いつか同じテーマで研究を始める者が出たときに」と、はるかな彼方に孤独な読み手を描いていました。が、意外に、一部のテーマは、すでに結構ダウンロードされているようです。「幸福」論あたりは、一般的ですから、どこかの授業のテキストにしてもらえているのかも知れません。小生自身、定年後勤めはじめた大学(福山平成大学です。一応ホームページもたてました(http://www.heisei-u.ac.jp/kss/ykondo/))で講義する際、フェアとか尊厳等を講じながら、「仔細は、広大図書館のリポジトリを見るように」と気軽に言えて、思いのほかに自分自身にも役立っていることです。

(2010.5)

  

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