Genetic Controls of Sulfate and Monoamine Regulons in Enteric Bacteria

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File
diss_ko1273.pdf 46.1 MB 種類 : fulltext
Title ( eng )
Genetic Controls of Sulfate and Monoamine Regulons in Enteric Bacteria
Title ( jpn )
腸内細菌のサルフェート及びモノアミンレギュロンの遺伝子調節機構
Creator
Azakami Hiroyuki
Abstract
腸内細菌Klebsiella aerogenesにおいてアリールスルファターゼ合成は硫黄化合物によって抑制され、モノアミン化合物によって脱抑制される。さらにこのモノアミン化合物はモノアミン酸化酵素の合成も誘導する。本研究ではサルフェートレギュロンとモノアミンレギュロンの交点であるアリールスルファターゼ遺伝子の発現調節機構の解明を中心に、モノアミンレギュロンの全体像を明らかにすることを目的とした。以下、本論文を要約する。

第一章では、アリールスルファターゼ合成の硫黄化合物による抑制機構を解明するために、その調節因子をコードする遺伝子をクローニングし、その解析について述べた。K. aerogenesにおけるアリールスルファターゼ合成の負の調節遺伝子をクローニングした。ディリーション解析により、この遺伝子は1.6kbの断片中に位置することがわかった。この断片を含むプラスミドをatsR変異株(サルフェートの存在下でもアリールスルファターゼ合成を抑制しない株)に導入したところ、atsR変異を相補し、アリールスルファターゼの合成はサルフェートやシステインの存在下で抑制され、この抑制はチラミンの添加により解除された。この1.6kbの断片の全DNA配列を決定したところ、二つのORFが見つかった。一つはそのN末を欠いており、E. coliのdiadenosine tetraphosphatase遺伝子(apsH)と高い相同性があった。もう一一つのORFは、このapaH-likeな遺伝子と逆向きに位置し、E. coliのdihydrofolate reductaseと高い相同性があった。この領域をKtebsiella菌に導入することにより、野生株の30倍以上のdihydrofolate reductase活性が得られた。さらにディリーション解析を行ったところ、アリールスルファターゼの抑制に必要な領域はfolA遺伝子のコーディング領域と一致していた。また、E. coliのfolA遺伝子をKlebsiellaのatsR変異株に導入したところ、アリールスルファターゼ合成の抑制がみられた。以上のことから、folA遺伝子がatsオペロンの負の調節因子であると結論した。

第二章では、モノアミン化合物によるアリールスルファターゼの脱抑制機構を解明する目的で、その調節因子をコードする遺伝子を単離、解析し、さらにモノアミン化合物によって誘導される幾つかの遺伝子の発現調節について述べた。K. aerogenesよりアリールスルファターゼ合成がチラミンによって脱抑制されない変異株を取得した。この変異株(K801)はチラミン酸化酵素や30kDa蛋白(atsオペロン下流域を導入した株において高濃度チラミンによって特異的に誘導合成される分子量約3万の蛋白質;4章で詳述)のチラミンによる誘導も行われなくなった。そこでこの株を用いてアリールスルファターゼの活性化を調節する遺伝子(moaR)をクローニングし、そのDNA塩基配列を決定した。クローニングした遺伝子をK801株に導入したところ、モノアミン化合物によるアリールスルファターゼの脱抑制、及びチラミン酸化酵素、30kDa蛋白の誘導合成が回復した。また、塩基配列よりMoaR蛋白のC末領域には二成分系調節蛋白のものと相同性を示すhelix-turn-helixモチーフが見つかった。さらにmoaR-laoZ fusionにより、MoaR蛋白はmoaR遺伝子自身の発現を正にautoregulationしていることがわかった。以上のことから、MoaR蛋白はatsオペロン、tynオペロンを含む幾つかのモノアミンレギュロン遺伝子を正に調節していることがわかった。

第三章では、E. coliのモノアミン酸化酵素遺伝子の単離、解析について述べた。モノアミン酸化酵素の構造遺伝子が大腸菌ゲノムの30.9分付近に位置することを発見した。ディリーション解析の結果、この領域には二つのモノアミン酸化酵素が存在することがわかった。このうちの一遺伝子のDNA塩基配列を決定した。E. coliから精製したモノアミン酸化酵素のN末の40アミノ酸のペプチド配列は、この遺伝子のDNA塩基配列から予想されるものと一致していた。また、シグナルペプチドと思われる配列が30アミノ酸にわたって存在していた。この遺伝子のDNA配列とこれから予想されるmature enzyme(分子量81,295)のアミノ酸配列は、K. aerogenesのDNA塩基配列及びモノアミン酸化酵素のアミノ酸配列とそれぞれ高い相同性があった。これらの結果と酵素活性の解析結果を併せて、本遺伝子がモノアミン酸化酵素(maoAE)をコードするものと結論した。また、E. coliの本酵素と他のcopper/topa quinone含有アミン酸化酵素のコファクター部位とのアミノ酸相同性より、topa quinoneへの変換が示唆されているチロシン残基が位置していた。

第四章では、アリールスルファターゼやモノアミン酸化酵素と同様にモノアミン化合物によって誘導合成される30kDaの蛋白質の発見と、その遺伝子解析について述べた。アリールスルファターゼ遺伝子(atsA)を含むプラスミド(pAS123)をもつK. aerogenesにおいて、高濃度のチラミンの添加により約30kDaの蛋白質が誘導合成されているのを発見した。この蛋白質はアリールスルファターゼやモノアミン酸化酵素と同様にチラミンに加えてドーパミンやオクトパミンでも誘導された。ディリーション解析により、この蛋白の誘導合成に必須な領域は、atsBAオペロンの下流の約2.Okbの断片中に位置することがわかった。この領域のDNA塩基配列より、二つのORF、moaE、moaFが見つかった。moaEプロモーターはチラミンの添加により活性化され、二つの遺伝子moaE、moaFはこのプロモーターからポリシストロニックに転写されていることが示唆された。30kDa蛋白を精製し、そのN末アミノ酸配列を決定したところ、moaF遺伝子のDNA塩基配列から予想されるN末配列と一致していた。また、データベースとのホモロジー検索により、moaE遺伝子産物はチラミンあるいはその代謝産物を酸化還元することが示唆された。モノアミン化合物による30kDa蛋白の誘導合成は、他のモノアミンレギュロンと同様に正の調節因子moaRによって制御されていた。

以上の結果をまとめたのがFig.5.1.である。
Descriptions
目次
緒言 / p1
第一章 Cloning and nucleotide sequence of a negative regulator gene for Klebsiella aerogenes arylsulfatase synthesis and identification of the gene as folA / p4
第二章 moaR,a gene that encodes a positive regulator of the monoamine regulon in Klebsiella aerogenes / p34
第三章 Nucleotide sequence of the gene for monoamine oxidase (maoA)from Escherichia coli / p62
第四章 A monoamine-regulated operon in Klebsiella aerogenes containing moaE and moaF that is controlled by the gene (moaR)that is the positive regulator of the monoamine regulon / p76
総括 / p102
謝辞 / p106
関係論文及び参考論文 / p107
NDC
Biology [ 460 ]
Language
eng
Resource Type doctoral thesis
Rights
Copyright(c) by Author
Publish Type Not Applicable (or Unknown)
Access Rights open access
Source Identifier
1. Azakami, H., H. Sugino, and Y. Murooka. 1992. Cloning and nucleotide sequence of a negative regulator gene for Klebsiella aerogenes arylsulfatase synthesis and identification of the gene as folA. J. Bacteriol. 174: 2344-2351. references
2. Azakami, H., H. Sugino, N. Yokoro, N. Iwata, and Y. Murooka. 1993. moaR, a gene that encodes a positive regulator of the monoamine regulon in Klebsiella aerogenes. J. Bacteriol. 175: 6287-6292. references
3. Azakami, H., M. Yamashita, J. Roh, H. Suzuki, H. Kumagai, and Y. Murooka. 1993. Nucleotide sequence of the gene for monoamine oxidase (maoA) from Eschericliia coll. J. Ferment. Bioeng. in press. references
4. Azakami, H., H. Sugino, N. Iwata, N. Yokoro, M. Yamashita, and Y. Murooka. A monoamine-regulated Klebsiella aerogenes operon containing moaE and moaF genes is regulated by moaR that encodes a positive regulator of the monoamine regulon. J. Bacteriol. submitted. references
[URI] http://jb.asm.org/content/174/7/2344 references
[URI] http://jb.asm.org/content/175/19/6287 references
[DOI] http://dx.doi.org/10.1016/0922-338X(94)90241-0 references
[DOI] http://dx.doi.org/10.1016/0378-1119(95)00400-Z references
Dissertation Number 甲第1273号
Degree Name
Date of Granted 1994-03-25
Degree Grantors
広島大学