琵琶湖周辺におけるボツリヌス菌に関する生態学的研究

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タイトル ( jpn )
琵琶湖周辺におけるボツリヌス菌に関する生態学的研究
作成者
林 賢一
抄録
1. 従来、E型ボツリヌス菌は、北緯40°以北に限って分布すると考えられていたが、それより南である北緯35~36°に位置する琵琶湖にもE型菌が濃厚に分布していることを明らかにした。

2. 琵琶湖に流入する河川の中流域よりも河口域(琵琶湖湖岸)の土壌から、また湖底土壌よりは湖岸土壌から高率にE型菌が検出され、琵琶湖沿岸土壌中には広域にE型菌が分布することが判明した。

3. 琵琶湖にはE型のほかに、C型、D型およびF型のボツリヌス菌が分布し、とくに北湖ではE型の検出率がもっとも高く、次いでC型、CxD型、F型であったのに対し、南湖ではC型の検出率が最も高く、次いでE型、CxD型、D型の順であった。北湖より富栄養化が進んでいる南湖でC型の検出率が高かったことから、C型の分布と湖の富栄養化とは関連があるものと推定された。

4. 琵琶湖沿岸4地点の土壌から、季節に関係なくE型菌がいずれも50%以上の陽性率で検出されたことから、E型菌は琵琶湖に常在していることが明らかとなった。

5. 琵琶湖では水鳥の個体数が増加する秋から冬にかけてC型の検出率が高くなったこと、さらに水鳥の棲息地として著明な三島池では、C型やD型が濃厚に分布していたことから、水鳥の棲息とC型およびD型の分布とは関連のあることが示された。

6. 琵琶湖の湖岸水および池の流出水からC型、D型、あるいはE型のボツリヌス菌が検出されたことから、流水はボツリヌス菌を遠方に運搬し、拡散する役割を果たしていることが明らかとなった。

7. 土壌からのボツリヌス菌の検索にあたり、採取後すぐに培養できないときには冷蔵保存し、培養前に60℃、15分および80℃、30分の加熱処理による培養方法を併用することによって、C型、D型およびE型のボツリヌス菌の検出率を高めることができた。

8. 30℃培養と37℃培養とを併用し、4日目と7日目の成績を比較したところ、C型、E型とも、30℃7日間培養における検出率がもっとも高かったことから、この条件はこれらの組合せのなかではもっとも適当なボツリヌス菌の培養条件であると考えられた。さらに、30℃と37℃培養とを併用すると、ボツリヌス菌の検出率がより高くなる成績も得られた。
内容記述
目次 / p1
緒論 / p1
第1章 琵琶湖流入の河川におけるボツリヌス菌の生態 / p6
 I.緒言 / p6
 II.材料および方法 / p7
 III.成績 / p11
 IV.考察 / p13
 V.小括 / p16
第2章 琵琶湖におけるボツリヌス菌の生態 / p27
 I.緒言 / p27
 II.材料および方法 / p27
 III.成績 / p34
 IV.考察 / p38
 V.小括 / p42
第3章 琵琶湖におけるボツリヌス菌の季節別の生態 / p50
 I.緒言 / p50
 II.材料および方法 / p51
 III.成績 / p53
 IV.考察 / p58
 V.小括 / p63
第4章 琵琶湖以外の地域におけるボツリヌス菌の生態 / p73
 I.緒言 / p73
 II.材料および方法 / p74
 III.成績 / p77
 IV.考察 / p81
 V.小括 / p86
総合考察 / p94
総括 / p104
謝辞 / p106
参考文献 / p107
NDC分類
医学 [ 490 ]
言語
日本語
資源タイプ 博士論文
権利情報
Copyright(c) by Author
出版タイプ Not Applicable (or Unknown)(適用外。または不明)
アクセス権 オープンアクセス
学位授与番号 乙第2228号
学位名
学位授与年月日 1992-03-04
学位授与機関
広島大学